Column

10/07/22

 少し前、車を運転していて驚くべき事実に気が付いた。なんと出くわす車のほとんどが白か黒かあるいはシルバーか、その3種類ではないか!あまりの驚きに慌てて他の色を探したが、たまに出会う他の色達は紺色が多少優勢か?といった程度でほとんど横並び状態。赤とかモスグリーンとか、まれに黄色とか、とりあえず異端児か突然変異。その後、歩きながらもやっぱり気になって駐車場とか覗いてみると、やっぱりそこにも白黒シルバーのオンパレード。ぼんやりと日本の車は白が多いとは気が付いていたが、モノトーン系でまとめてしまえば、僕の感覚では10台中9台かあるいはそれ以上がモノトーン系だろう。
 この怪奇現象を、よくいわれる日本人の中流意識で説明することは可能だろうけど、僕が思うに日本の全くコントロールされていないムチャクチャな街の風景、街の色を思えばこのくらいストイックな色使いでちょうどよかったのではないだろうか。お願いだからこれ以上街に無秩序かつ無配慮な色を反乱させないでくれ!と僕は言いたい(書きたい)。
 先日、東京で竣工を迎えた住宅の撮影を行っていて、少しだけいやな気持ちになったことがある。外観写真を撮ろうと思ったらお隣の工事現場には真っ青な養生ネット、手前には真っ赤な自動販売機、そして敷地の真正面にはなんとぶっちぎりの水色とオレンジに塗り分けられたミラーと街灯。いままで散々現場に通っていながら、この日ほど周囲の環境が浮き彫りになって、その存在自体が醜く思えたことはなかった。情けなかった。でもこれが日本です。素敵です。

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