Column

2007 . 6 . 5

 先日、といっても初めての経験ではないので改めて日時を特定する意味もないのですが、電車に乗ったらとてもよくしゃべる二人組と乗り合わせた。JRのボックスシートの向かいに座っていた二人組は、意味も無く(少なくとも私にはそう感じられた)ただひたすらにしゃべるために口を動かしている様 にも思われた。よくもまあ、そんなにしゃべるものだ、と最初のうちは感心していたが、そのうち妙に腑に落ちた。きっとこの人の頭の中の全てはその会話なのだ。思った事、感じた事全てが、何の思慮も配慮も無くそのまま言葉として排出されて行く。ああ、この疲労感。言葉はロゴス。言霊という文字がある様に、言ったことは現実なのだ。言う事によってのみ現実化すると言ってもいい。例えば、死。その言葉の意味する事はどこまで行ってもひたすらに「死」というたった一言でしか表現出来ない。つまり、言葉を持たない生物に死は無い。我々人類の死とは何なのか。だれも経験した事のないその神秘。一人称の死はやはり無い。その深い精神を思い、味わい、しゃべる事は大切にしていきたい、と私は思った。

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