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「金沢 武家屋敷」レポート

2007 . 10 . 4

先日、展覧会に出展するために金沢に行ってきました。観光する時間もあまり無かったので、会場となった21世紀美術館から歩いて15分くらいのとある武家屋敷に行きました。どちらかと言えば町屋や民家の様な、とても生活感のある建築が好きなのですが、武家屋敷はどうかな、と思いながら見てきました。中に入るとやはり豪華な襖や、立派な一枚板から成る板の間などが目を引きますが、縁側に出てみるとその屋内外の連続感や、庇と縁側により切り取られた風景の美しさが際立ちます。その水平に伸びていく空間のプロポーションとパースペクティブの良さ、屋内外をギリギリのところで隔てる際どい結界として存在する隅柱の細さ。そこにあるのは、「豪華さ」ではなく、純粋なる「美しさ」でした。また別棟にある茶室やその前室も素晴らしかったです。

写真は茶室の隣にある前室ですが、特別なしつらえや、凝った意匠はありません。でもそんな空間でこそ本質は見えてきます。天井は低く、さらに雪見障子、簾等を用いて、曖昧にしかし確実に視線を水平にそして無限に延長していく様な、仕掛けを発見する事が出来ます。腰壁の高さや、その奧にある手摺りの控えめな存在が、壁の結界をやぶり、精神が外へふわっと融けていく様な気がします。もろもろの物質は、すべてが強い存在理由から解き放たれ、軽やかにそして自然にそこに在った様な置き方(組み方)がされ、建築全体を成しています。まさに「透ける」空間ディテールとはそんな感じなのでしょう。

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