Report

久我山の家

2020 . 8 . 7

昨年秋の台風をはじめとした悪天候により延期された撮影が、この春のコロナによって再度延期になり、といった感じで弊社HPでは新規の作品がここのところ殆ど増えていません。私も忙しさに甘えてレポートとコラムを全く更新していませんでした。しかし今年の長引いた梅雨もやっと明け、8月から10月にかけて、これまで延期していた竣工写真をゆっくり撮っていきたいと思っております。

そのような最中、こちらも暫く自粛していました雑誌メディアの取材が開始され、東京の久我山で昨年手掛けました「都市の縮景」という同居型二世帯住宅を、新建築住宅特集8月号(7月19日発売号)にて掲載して頂くことが出来ましたのでレポートしたいと思います。こちらはスタッフの丸伊が設計から監理まで私と一緒に手掛けた初めての作品になりますので、私としても掲載を喜んでいます。

都市郊外のど真ん中、旗竿形状の敷地は広々としていました。与えられた与条件を満たすために、acaaでは敷地の中央に四角い平面を南北軸に振って配置し、建物の4方に広々とした余白を残し、そこに頂いた予算の限りたくさんの樹木を植え、さらに施主のお陰もあってクローバーをはじめ様々な草花が繁り、緑に包まれた都市住宅が出来上がりました。中に入るとまず広々とした玄関の間があります。ここは庭に面した1階の居間空間という位置づけで、引き戸を全開すると庭と一体になります。この辺りはご主人の要望がよく反映されている部分かと思っています。
さらに奥へと進むと吹き抜けた図書館があります。ここにはトップライトから光りが降り注ぐ、まるで都市の広場の様な場所で、現場ではパティオと呼んでいました。勿論世帯間の出会いの場所でもあり、父と娘の教員(歴史学と心理学)という職業が強く影響を与えた空間でもあります。時間を超え、世代を超えてここで本を中心とした家族の時間が流れることを想像し、パティオらしい光の演出や地形のようなベンチなど、苦労しながらデザインしました。そしてやはりacaaらしいのは、そこの面積が本当にコンパクトなことです。気になる方は是非雑誌をご覧になってください。そして中二階には将来の子供たちが居るであろう自由な空間をつくってあります。ちょうど今はコロナの影響もあり、親のリモートワークをはじめとするワークスペースでもありますが、溢れる書籍の受け皿となる開架のギャラリー空間でもあり、図書館と半階程度の段差で繋がる連続した空間でもあります。吹き抜けに面して小さい窓が複数つくってあり、そこには色付きガラスを提案しました。日も暮れるころ、窓からこぼれるあかりがパティオに活き活きとした中庭をイメージさせてくれます。


この家はスプロールする都市の中に生まれた広々とした緑に包まれています。そしてその家の中にはもう一度都市の縮景としてのパティオを包含しているという入れ子の構造をなしていることが分かります。そこを巡る日常生活の中から、末永く様々な風景が生まれることを期待して設計監理を行いました。これからも増え続ける緑に包まれながら豊かな生活が育まれることをお祈りしております。ご依頼頂きまして誠にありがとうございました。

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