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「大谷資料館」レポート

2008 . 6 . 10

先日、宇都宮へ再度行く用事が出来たので、今度は大谷資料館に行ってきました。もしかしたらご存じない方も多いと思いますが、昔から塀によく使われている大谷石は、宇都宮市郊外の大谷という地名の山で戦前からずっと生産され続けている石なのです。比較的軽くて加工が容易、さらに独特の砂岩の様な風合いや暖かみがあり、既に取り壊された旧帝国ホテルの外壁や装飾全般に使われていました。欠点は風化に脆く、汚れやすいという事でしょうか。

まぁ、大谷石の説明はどうでもよいことです。大谷石資料館です。何となく情報だけは得ていましたが、やはり実際に行ってみてびっくりしました。

その地下空間の異状なまでの大きさにです。これは完全に地下都市です。と言ってしまえば割と分かり易いだろうと思ってつい書きましたが、私にはその空間にどうしても「人」が入れません。

正確に書けば、私にとっては全然都市ではなくて、重量感と巨大なスケールをもって迫ってくる恐怖です。空間のオブジェかもしれません。戦争中はそこで飛行機が製造されたり、近年ではファッションショーやコンサートが開かれたそうですが、飛行機製造工場は空から見えない工場としてやむを得ないとして、ショーやコンサートは全く商業主義者の考えそうなことだな、と巨大過ぎる空間を歩きながら心底いやになりました。その暗闇の恐怖をただ放っておく、あるいはただ味わう感性というか、つまり何もしないでいる勇気が全く無いことが本当にいやなのです。ちょっと変わった空間だから人を集めて催し物を企画して・・・という考えはきっとその空間を全く分かっていない証拠です。自然の中でもどこでも大挙して押し寄せる観光客を思い出してしまいます。

暗闇にアイアンアートや光のオブジェが、何かのイベントの残像として置いてありましたが、まったく邪魔です。暗い裸電球がぶら下がっているだけで十分にその空間のオブジェ性は味わえるはずなのに、どうしてそこに作家の作品を置こうとするのか。この空間は100%人為的な既にアートです。その中に人為的アートを置くのはトートロジーです。

怒りもそのくらいにして、外気温が25度を超えそうな中、内部は9度でした。冷たい湿気で満たされていて、地下水の湧き出す音の演出も含めてその空間の非人間性にただ圧倒された30分でした。心も体も寒くてそれ以上居ることが出来なかったので・・。でもまた行きたいです。

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