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「小松島の家」「RSH:6」取材レポート

2010 . 10 . 6

先日、雑誌の取材で1年ぶりに徳島に建つ「小松市の家」を訪ねてきました。毎度考えるのですが、デザインという言葉の本質的な意味はともかく、カテゴリーとしての「和風」や「モダン」といった言葉の意味が実は私はよく分かっておらず、それ故に取材の度にその言葉に深く入り込んで説明を試みる必要に迫られることがあります。今回はとりわけ「和」でしたが、半月ほど前の「RSH:6」の取材では「モダン」でした。徳島では松井編集室の松井晴子さんとじっくりと話すことが出来たおかげで、今までになくきちんと向き合えたと思うので、そこで考えたことを少しだけレポートします。

「モダン」と「和風」はそれぞれの地位を確立した様式に思われがちですが、実はそうではありません。「モダン」は様式性(例えば和風、クラシック、オリエンタル等々)を脱落していった先に見える合理性であって、「和風」は「風」と付く限りにおいて確固たる様式です。そこを混同してはいけないと思います。つまり様式の上位概念に「モダン」があるのです。

「RSH:6」はどこまでも続いていくかの様なデッキ空間がきちんと見えることが大切でしたので、それを邪魔するものはできるだけ排除した方がいい。その時点ですでにモダンなのです。何かの様式に定着させる設計手続きはこの住宅では行っていませんので、あと残るものは素材感による印象だと思います。この住宅では外観と内観で木質が印象に残ります。私にとってはそれだけですが、「ナチュラル」という様式で表現する方もいらっしゃる様です。「小松島の家」では回遊する動線とそこに絡む二つの中庭による居場所の多様性を実現することが大切でした。クライアントの意向が黒塗装された木質空間を作り出していますが、それが一つのきっかけとなって、古い日本の建築空間に見受けられるデザイン操作を加えています。簡単に言えば光と視線、空間の重心の操作です。その操作の有る無しが、実は同じ「モダン」であるにも関わらず立ち姿としての「和風」という印象を与えるのでしょう。つまり合体すれば「和風モダン」となります。

でも結局のところ、立ち姿としての印象はクライアントの好みが一番大切だと思っていますので、毎回そこの方向性は間違えない様にと心がけています。そのとき、我々が様式に捕らわれてしまうと完全に足下をすくわれてしまいそうです。様式があって好みではなく、本質的には常にその逆だからです。

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