Report

「とうきちろう」レポート

2011 . 4 . 23

久しぶりに埼玉県川口市に設計した日本料理「とうきちろう」に行ってきました。昨年の猛暑と今年の節電を受けて、これから来る夏の暑さ対策の打ち合わせです。屋根のガルバニウム鋼板に遮熱塗料を塗る等のアイデアに基づいて今後検討に入ります。

この店舗の特徴はアプローチの竹林と、大屋根の一体空間を分節するメゾネット構成にあります。敷地の長手方向にアプローチ~エントランス~土間空間、という動線が貫き、限られた建築計画の中での最大限の距離感をつくり出しています。土間の上部にはトップライトがあり、そこから降り注ぐ光の中を半階づつ上っていく階段があります。中間フロアーは比較的カジュアルな雰囲気とし、上のフロアーは落ち着いた雰囲気となる様に家具の配置と色、質感を使い分けています。

今回驚いたのは、アプローチの布袋竹がきちんと手入れされ、竹のトンネルを抜けてアプローチ出来る様に見事に剪定されていることです。竣工当時と違い、竹の密度もほどよくコントロールされ、アプローチにそって厨房が見え隠れするスリット窓も、スクリーン効果によって適度な見え加減です。パースの効いた平面形の路地を緩やかに上る階段は打ち水されてきらきら光り、エントランスへと誘う足下の照明が浮かび上がります。もう一つ驚いたのは、杉板のフローリングと黒い顔料が練り込まれたモルタルの土間が、ぴかぴかに黒光りしていることです。僅か数年ですが、料理長をはじめとして皆が毎日拭き掃除をしてくださっている結果だろうと思いました。杉板もモルタルも、決して高い材料ではありません。むしろローコストなのです。でも愛着を持って手入れし、使い込むことで素材としての新しい美しさが生まれてきています。それは新品の時に最も美しくその後は薄汚れていく新建材の在り方とは逆だと思いました。これほどまでに磨かれたモルタルを私ははじめて見ました。

料理は言うまでもなく極上です。にも関わらず価格は極めてリーズナブル。これは設計当初からクライアントが掲げていたコンセプトであり、そのコンセプトを見事に成し遂げている料理長の森さんは、有名な料理人であるクライアントのお弟子さんです。まだ若いですが本当に立派だなと思います。

立地は京浜東北線の蕨駅からタクシーで約1000円の距離。最高の日本料理をお手軽価格で楽しみたい方は是非ウエブサイトからご予約を頂いて行かれてみてはどうでしょうか。行かれるのであれば、薄暮の夕刻がお勧めです(笑)。

▲ページトップへ戻る

▲reportTOPへ