Report

竣工レポート~その2

2011 . 6 . 23

前回に引き続き、今回は茅ヶ崎です。この住宅の敷地は辻堂駅から歩いて5分くらいと近く6~7件ほどのほぼ同時販売の開発地でした。同時か少し早く着工した周囲の住宅はあっという間に竣工を迎え、販売時の土地割をさらに小さく分割し周囲への影響などまるで無縁とでも言いたげな表情で一気に3階まで立ち上がり、我々の現場に影を落としました。そもそも周囲に家が建ち並ぶ可能性がある住宅地であれば、地方であれ、東京であれ、家の建ち方は都市住宅としての解き方をせざるを得ません。ただ、内部と外部を結ぶ結界、あるいはシェルターとしての強さが、その立地の要求に応じて変化するのです。

敷地の周囲はまだのんびりした空気が残る田舎である一方、開発宅地という性格から想像される将来の家の建ち並びは、私にとっては大きな矛盾でもありました。その感覚をきちんと計画に反映させることがとても重要なので、今回の計画で最も重要だったことは開発地の一番奥、開発道路の突き当たりに位置する住宅としての風景への関与です。

私は開発道路の突き当たりにできるだけ柔らかな視線と風の抜けをつくりたいと考えていました。浮庭と呼んでいるバルコニーまで階段状のデッキが連続して、その奧に設置した格子越しに視線を受け流すようにしました。

階段状のデッキの真ん中にはヤマボウシを植え、乾燥気味な風景に潤いを与えることが出来ればと考えました。近い将来、木がもっと成長すれば、木陰の階段に座ってのんびり過ごすことも出来ます。アプローチとデッキと中庭をまとめた一体空間は、周囲への影響を考え計画した場所でありますが、玄関までの短いけど豊かな空間体験として、日常にちょっとした喜びを与えればと思い計画したものです。もちろん、道から玄関は見えません。その奥行き感が大切なのです。閉じてしまう中庭空間ではなく、緩やかに外部へ開いた中庭空間としてのアプローチです。それが、辻堂という地域で私が適切だと思った都市住宅としての解き方でした。

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