Column

09/02/19

 普段あまりニュースは見たり聞いたりしない方だが、先日たまたま朝のFM放送を聴いていたら「発展途上国」という言葉が耳に飛び込んできて、自分でも不思議なくらいに、その言葉が気になった。あれっと思ったけど、使用禁止にはなっていなくて、使用されなくなったのは「後進国」だったから一安心、というか、ダメな言葉をNHKが使う訳ない。あたりまえか、などとぶつぶつ考えるのは勝手として、そのくらい、私は普段ニュースをまじめに見たり聞いたりしていない証拠。でも、「発展途上」である「国」であることは分かるが、経済や科学技術の「発展」が遅れているという誰もが疑わないその意味を考えだしたら寝むれなくなった。つまり、我々はその「発展」という言葉に目指すべき理想的な未来という意味があることを理解し、だから「発展」していないものは心のどこかでダメだと思っている。さらに、「途上」という言葉が気になってきた。「途上」というからには、我々は不可逆的にある一つのベクトルに向かって進むべき存在であり、それをやはり歓迎していることになる。静止することはダメなのか。後退などもっての外か。とんでもない。ばかばかしくて書くのもいやだが、少なくとも私は経済や科学技術の発展など期待していないし、ましてやそれが不可逆的に進むことが理想であって、さらにその結果、人類皆幸せになるであろう、なんてよっぽど脳天気か無知でなければ考えることは不可能だろうと思っている。が、ニュースキャスターは今日も(たぶん)平然として「発展途上国」と読むだろう。経済大国は分かる。なら経済小国でもいいじゃないか。大小は物事の在り様そのままだから誰も否定はしない。なぜ「発展」なのか。なぜ「途上」なのか。暗黙のうちに、我々はある一つのブラックホールへと導かれているのではないか。本当に怖い。だから地球温暖化問題なのだ。解決する訳がない

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