Column

17/08/10

私の唯一の趣味といっていいことは、機械を分解してとりあえず治すことです。幼少期からテレビを分解したりラジオを分解したりバイクのスピードメーターを分解したり、もちろん、自分のバスのおもちゃも分解しました。そしてそこにあるメカニカルな雰囲気が好きで、それを粘土で再現したりしました。小さい頃は分解するので精一杯でしたが、今は古いラジカセやカセットデッキなどを修理することが大好きで、もしかしたら一番気持ちがリラックスしている時かもしれません。

ここのところ瞑想がブームの様です。海外で広く普及していることは割と前から知っていましたが、最近は企業が瞑想を採用するようになって、一気に日本での認知度が高まっています。日本にはもともと禅がありますので、実はやっていることは同じでしょうが、禅でも瞑想でもなく、思い切って好きなことをしている時には瞑想と同じ様な効果があるような気がしています。私の場合、古いラジカセをいじって治して、そこから出てくるカセットテープの音にうっとりする瞬間が至上の時なのですが、そのとき多分、精神的にもっともリラックスしていて、日常の様々な思考や悩みなどがすっかりと無くなっていることに気がつきます。さらに、音楽鑑賞ということから言えば、何故機械から美しい音が出てくるのかといった、美とテクノロジーを繋ぐ永遠の、そして決して埋まることのない溝をリアルに感じつつ、それを繋いでいる人間の感性のすごさにただ驚くばかりなのです。

ここ数ヶ月、そういった時間をゆっくりと過ごすことをうっかりサボっていた様な気がして、反省しました。忙しく過ごしている時期ほど、本来は僅かな時間を見つけて趣味を実行する必要があると思っています。さて次の休みは何をカセットテープに録音してみようかな、と考えることが楽しみです。

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