Column

20/08/07

また随分と時間が空いてしまいました。その間に世間では様々なことがあり、少なからず私たちの設計にも影響を与えましたが、変わることと変わらないことを正しく見極め、私たちは設計に取り組むことが大切だと日頃から考えています。そんなこんなで、話題は変わりますが最近も電車で広告を見ていて変だな、と思うことが後を絶ちません。例えば「日本工大には、ここでしか得ることができないさまざまな魅力があります。」です。これ、読んだ瞬間に違和感がありますよね?おや?と思ってもう一度読み返すとつまり、「この大学では様々な魅力が得られる」と断言しています。つまり魅力は大学の側に備わっていて、それを見に来た側に与えるのだと言いたい訳です。まるで物の売り買いのごとく、私はあなたにこの魅力を差し上げます、と言っています。本当にそんなことが出来るのでしょうか?魅力を得る、とは?

魅力とは人の気持ちを引きつけて夢中にさせる力であって、見る側としての主体に湧き出す大学に対する評価、性質を示す言葉なのだと思います。しかしこの広告では「得られる魅力があるのだ」と言っています。もう一度書きます。魅力とは大学が私たちに与えるもの、私たちが他者から得るものではありません。私たちが大学に対し感得するもの、または最初から大学の側に備わっている価値観そのものです。あっちやこっちに移動するものではありません。何万部刷っているか知りませんが、これを校正した大人はもう一度小学生に戻って国語を勉強しなおした方がよいと思うのです。

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